街路樹は問題がありながら今も存在している
令和5年7月、びっくりするニュースで街路樹が取り上げられました。
それは中古車販売のビッグモーターが起こした様々な不祥事。客の車に傷をつけて保険料を水増ししたり、やりすぎとも言える販売手法、経営者の「知らぬ存ぜぬ」な体質、そして社長退任など…
そしてびっくりしたのが、店舗の前の街路樹や植え込みがかなりの店舗で枯れている、という問題。あくまでも噂ですが植え込みの雑草などを枯らすために撒いた除草剤が植え込みごと枯らしてしまったとか。
これはあくまで仮定ですが「販売している車がよく見えるように街路樹や植え込みがなかったらいいのに」という強い念が植物を枯らしてしまったのかもしれません。
街路樹まで枯れるってどれだけ強い除草剤だったのか、という話はさておき…
この記事はかれこれ7年ほど前に「街路樹なんていらないだろう」と思っていろいろ調べて書いた記事です。ビッグモーターの問題でふと「街路樹って必要なんだろうか」と思った方がしばしばご覧いただいているようでありがたい限りです。
では問題提起です。
そもそも街路樹って必要なのでしょうか。
私の大嫌いな街路樹
私が街路樹を嫌う理由を先に書いておきましょう。
私の嫌いな「街路樹」とは
- 雨で濡れるとすべりやすくなる葉を落とす
- 落ち葉が排水口を埋めてしまい道路に水たまりができる
- 枝葉が車道にまで伸びてきて車や自転車に当たる
- 自動車を運転していると歩行者や自転車レーンの自転車が見えにくくなる
- 伸びた街路樹の剪定は車線を塞ぎ渋滞の元になる
- 年間必ず必要になる剪定費や整備費、植樹される木は税金が使われる
私はロードバイクに乗るので落ち葉の上で滑って転倒するのも怖いですし、落ち葉のせいで詰まってしまい水浸しになった道路を走るのも嫌でしかたがありません。走っている車に水をかけられるのも一度や二度ではありません。
また、自動車で走っていても街路樹の後ろにいる歩行者が見えにくく、左折するときに突然街路樹から自転車や歩行者が飛び出てくるのにびっくりすることもあります。
あとで具体的な金額も出てきますが都市部については年間数億円の税金が投入され、それらは一旦支払うものではなく街路樹が存在し続けるかぎり「管理費」名目で毎年必要になる金額です。
それでも「街路樹は必要」と言い切る理由ってなんなのだろうと私には不思議で仕方がありません。
行政の文書で街路樹不要論をチェックしてみる
私が思うくらいなので、きっと色んな人が考えてるだろうと思ったら…北海道の行政法人が文書を作っていました。
なかなか直球勝負な文章です。写真一杯のPDFなのでスマホの人は見ないほうが良いです。あとで箇条書きで概要載せますから。
この文書に出てくる街路樹のメリットが大きく3つあります。
- 交通安全
走行視線の誘導、トンネルなどの明暗差の緩和、対向車などの遮光、交通の分離(車、歩道、自転車の境目として)、防風、防雪効果 - 修景効果
(修景:都市計画や公園建設で,自然景観を破壊しないよう整備すること。修景保存)
都市景観向上、自然景観をはかる、緑を浴びたら気持ちがいい、失われた自然の復帰、地域の風土、季節感をPR - 環境保全
騒音緩和、大気の浄化、緑の影で路面温度、気温を下げる、火災の延焼防止、炭素を増やして地球温暖化防止、法面(道路を作った時などにできる人工的な斜面)の保護
いかにも「とってつけた」ような理由付けにがっかりしてしまいます。
交通安全のメリットなんて街路樹を使うより代替え品がいっぱいあると思うんですよ。標識や表示板など。「いやいや、自然に配慮しろよ」というなら生分解性プラスチックというのもあります。
生分解性プラスチックはすでに土木工事の型枠や釣り糸、医療用具、容器などで実用化されてることもありますし、こういうものを使えば街路樹のように除草や枝払い、落葉対策などをする必要もない。分解される前に定期的にメンテナンスしてやればいいので都市計画の予算にも組み込みやすい。自然を自然をというのなら街路樹ではなく、都市計画からきちんと緑を意識した公園を作ったらいい。
ましてや街路樹からどれだけの空気清浄効果、地球温暖化への対策効果があるのか。これは実際にデータがあって、街路樹が吸収する二酸化炭素より、街路樹を伐採して焼却する時に出る二酸化炭素の量のほうが多いということ。
街路樹で騒音を緩和しようと言っても防音壁に勝てるわけでなく、みっちり隙間なく並べれば景観を損なうしましてや木の上から音なんて出るので後付の理由ばかり並べられている気が。
結局、交通安全も修景効果も環境保全もなんだか「まず街路樹必要ありき」であと付けされた理由を並べられてる気がして仕方が無いのです。そしてこの文書、街路樹へのデメリットというか北海道民からのクレームについてまとめられてます。そしてそれに対して一つ一つ対策も。
- 枝や葉が日陰をつくる
→緑陰の効果(温度上昇を防ぐ)を説明する、剪定をおこなう - 葉がごみになる
→落葉する前の夏に剪定してしまう、ゴミにせず肥料化して資源として有効利用、住民と掃除する - 落ち葉でスリップしやすい
→落葉前に剪定する、葉っぱの小さい樹木を選ぶ - 虫が出る
→害虫が出にくい木を選ぶ、住民と一緒に駆除する - カラスが巣を作る
→人を襲うかもしれないので見つけたらすぐ巣を撤去する - 根で家が壊される
→そんなのは確認されてない - 根で歩道が盛り上がる
→根が張る場所を確保して歩道が盛り上がらないようにする
そこまで必死に街路樹のために頑張らなくても・・・特に住民の皆さん。逆に街路樹がなかったらこれらの対策する必要すらないのに。そして最後にこの殺し文句。
沿線住民の方々と連携し、協力しあいながら街路樹の維持管理を行い、住民が自慢できる立派な街路樹造りを目指しましょう
街路樹の長所(効用)>街路樹の短所(苦情)
他の自治体の文書でもでてくるんです「地域住民が育てる街路樹」的な文言。結局自治体が管理しきれないものを地域住民に手伝わせるのを「育てる」とか「見守る」とか「ともに愛そう」などと言葉を変えているだけ。
僕には間違いなく街路樹に対する苦情のほうが多いと思ってしまうのです。
それでも結局街路樹を植える理由は
地方自治体が街路樹を保全するための予算は結構な金額だったりします。
例えば、東京都中央区の街路樹に対する維持管理費は1億2600万円、住民一人あたりで割るとおよそ1800円にもなります。中央区で2億円、江東区では3億円の予算が維持管理日のために取られています。
街路樹があると、季節ごとに除草したり剪定したり落ち葉の掃除、排水口につまった葉の除去、夏場には散水や防虫対策など何かしらお金がかかります。そのお金って結局どこかに何かの名目で予算から支払われているわけで。
街路樹がなければそういうお金って要らなくなります。要らなくなるといろんな人や管理する会社や自治体の部署が困るから街路樹はなくせない、なんてことはまさかないとは思いますが…
先程も書いたように環境対策や景観をよくするため、区切りとして安全性を高めるといいつつそういう業者さんにお金を撒いているだけなのかなと思えてきます。
自然は自然で大事にしたらいいし、緑の下で遊ぶのは大人も子供も楽しいし大切なことだと思うんです。でもそれを街路樹に求めていく必要はないと思うのです。
夏の暑い日に街路樹が作る日陰は確かに涼しいです。しかし年間数億円も払って日陰を作るのであればその金額でしっかりとした屋根なり噴射する霧(ドライミスト)を設置するなりで実際の歩道の気温をさげてやるほうが効果的です。
結論はやはり「街路樹は不要」
僕の調べた範囲内ではやはり街路樹は無くてもいいと思いました。一番大事なのはやっぱり車、自転車、歩行者からの視認性。車と車以外をしっかり分けたいのならそれなりのポールなりフェンスなりで分けたら良い。それでもどうしても街路樹を植えなくてはいけないというのなら、車・自転車・歩行者のそのまだ外側、誰のなんの障害にもならない場所に植えたらいいと思うんです。
都会に緑は大事だ、自然が大事だというのはわかります。でもそれが「街路樹」である必要はないと思うのです。日陰が欲しいなら日陰になるものを作ればいいし、それが生分解性プラスチックであっても木材の屋根でもべつにいいと思うんです。ただ、定期的にメンテナンスの必要な、寿命のある樹木をわざわざ使うことにどんな意味があるのかなと思ってしまいます。