水漏れ発覚から工事完了までの体験をまとめました
私は家族4人で分譲マンション住まい。築20年を超えたマンションにある日起こった水漏れ騒動。我が家、階下のご家族、マンションの管理会社、保険会社、施工業者を巻き込んでいろいろと複雑な話になったのでなかなか大変でした。問題になるのがその原因、責任、費用などチェックポイントが多岐にわたること。
やっと工事完了まですすめることが出来たので発生から工事完了までを振り返ってみたいと思います。参考になる部分がきっとあると思います。
水漏れ発生
ある日の朝、妻が出勤しようとロビーに降りるとマンションの管理人さんに声を掛けられました。
管理人さん「階下の方から水漏れがしていると連絡がありました。もしかすると上の階(私の部屋)からかもしれません」
「かもしれない」という話だったので妻はとりあえず仕事に、その間に階下の方は管理人さんと管理会社のメンテナンス担当、施工業者立ち会いの元水漏れ現場を確認したようです。
夕方、私が会社から戻ると管理人さんと管理会社担当者、施工業者がやってきました。
管理人さん「水漏れを確認したところ、やはり上の階(私の部屋)から水が落ちてきています」
「今日施工業者も来ているので水漏れ箇所を特定させてください」
そんなこと急に言われても困ってしまいます。台所や浴室などの水回りを急に見せろと言われても。
話を詳しく聞くと、階下で水漏れしたのはお風呂のドアの前にある照明ユニットの隙間。ここから水滴がポトリポトリと落ちたので階下の方は「結露かな?」と最初思ったものの、やはり気になるとのことで管理人さんに連絡をしたそうです(階下の方は賃貸で入っておられる方なので余計水滴が気になったようで、これが早期発見につながりました)
管理人さん、管理会社の担当者、施工業者さんががまずは洗面台の下は板1枚だからそこをめくってパイプを確認してみようとか言い出します。急に言われて今やるんですか?それ。
管理人さん「水漏れ箇所の特定のために穴を開けたりした箇所についてはマンションで加入している保険で完全に復旧することができますのでご心配なく」
それならまぁ仕方ないかなと。洗面台の下に入っているシャンプーの予備や歯ブラシやその他諸々を取り出して洗面台の下の部分を確認してもらいます。
施工業者「ここからではわかりませんね」そらそうでしょう。位置違いすぎますよ。
その位置からではパイプすら見ることが出来ない。これではどうしようもない。
施工業者「床に穴を開けさせて下さい」
わたし「えっ?」
管理会社はすでにマンションの部屋の水道管、給湯管の通っている位置を設計図面で把握していて、水漏れ箇所から考えれば給湯管のどこかから水漏れしている可能性が高いとのこと。共用通路側にある給湯器から廊下の下を通って洗面台あたりまで来たお湯のパイプは洗面台とお風呂場、台所へと分岐します。
絵にしてみたほうがわかりやすいですよね。
風呂場の前あたりの赤く塗った所が階下で水漏れしたところ。部屋のタイプはウチと同じらしいので、ちょうど風呂場の前の短い通路のあたり。給湯器は共用通路にあって、廊下の下を通って洗面台あたりからいろいろ分岐します(オレンジ色の線がそう)
施工業者「洗面台の前の通路の床に穴を開けてパイプを確認しましょう」
ノコギリの丈夫そうなやつを持ってきてゴリゴリ始める業者さん。
施工業者さん「さすが良い時期に作ってるマンションだけあって床が分厚いですね!」
全然そんなふうに褒められても嬉しくない。そしてゴリゴリしながら業者さんが言う。
施工業者さん「もしこの洗面台の前が濡れていて、その濡れが廊下の方に向かって続いていたら廊下もめくってパイプ破損部分の交換工事になります。その場合はマンションの保険はおりませんので各戸のご家庭の負担ということになりますので・・・」
わたし「ちなみに大体でいいんですけどおいくら万円ほどするものなのですか?」
施工業者さん「超ざっくりで100万円コースです」
そんな金額突然言われても本当に困る!!そしてゴリゴリゴリ・・・ぽろり。緊張の一瞬。
施工業者さん「ああっ濡れてます!でも廊下の方には水漏れがありませんね!」
となると、水漏れ箇所としては洗面台の分岐とその先、お風呂の給湯への分岐か台所の分岐のところか。とりあえず100万円は払わずに済みそうだ。だんだん範囲が狭まってきた。
つぎはどこをゴリゴリするつもりなのか・・・まるでゴルフ場のバンカー。
すると施工業者さんの仲間の給湯専門チームの方が到着、臨時会議が始まります。
業者さんB「そやろ、じゃあお風呂の給湯後ろから見たらええやん」
浴室というのは浴室のユニットをはめ込んでいて、そのユニットの外側に給湯パイプなどが通っているようです。そしてその外側を眺めるためにはある場所をパカっとはずしたらいいということなんですが・・・
業者さんB「浴室収納棚をはずしましょう」浴室収納棚っていうのはこういう棚と鏡がセットになっているものです。
これを外すとユニットの後ろをみることができるのだそうで、まるで異界への扉。事前に言われてたらきれいに掃除もしておくのですが、突然の業者さん襲来でお風呂場には水垢のついた鏡、髪の毛の落ちてる床、使い古されたスポンジ。掃除をされていない浴室を見られたのは「まるで裸を見られたかのような気分」妻いわく。
とりあえず業者さんは手慣れた様子で収納棚をはずしていきます。回りに打ってある白いシール材を剥がしてそっと棚を外したら顔を空いた穴に突っ込みます。
水漏れ箇所発見
業者さんB「ああ!水漏れあったわ!シャワーの給湯管や!!」
分岐したあとのシャワーに続く配管に小さな穴があいていて、そこからポトリポトリと水滴が落ちていたそうです。大きな穴だとわかりやすいらしいのですが、穴が非常に小さかったため水滴が少しづつ配管から出て保温カバーの中を通り、保温カバーの切れ目だった浴室の前部分で床(階下の部屋の天井)にこぼれ出たらしいのです。
まずはこの部分を補修道具で簡易修理し、修理見積もりを出してもらうことに。
ここで気になるのが修理金額に対し「マンションの保険で直せる部分」と「各戸が負担する部分」 があるということ。例えばマンション自体に属しているような部分についてはマンション側の保険で負担してもらえるんですが、その先の部屋内の配管などについては各部屋のものとして「マンションのものではない」という考え方になるんですね。
(マンション負担分、個人負担分という説明の仕方でした)
その場で教えてもらえたのは
- 最初の水漏れ箇所特定のために穴を開けたもの→保険負担
- 階下の天井部分の水漏れによるシミ、照明ユニットの交換(ショートの可能性などがあるため)→保険負担
- シャワー配管の交換→個人負担
- 収納棚の取り外し、再び取り付け→個人負担
この辺の「どれが個人負担、どれが保険適用」というのが非常に難しいらしいんですね。先程書いた「100万円コース」というのは何メートルもある廊下の床を全部めくって配管を取り替え、さらに床を張り替えてフローリングを新しくするというのはマンションの保険適用外だから個人負担、ということなんですよ。
まずは保険が下りる申請をするためにメモを始める施工業者さんと管理会社。
- 床をめくった
- 洗面台の下の板をはずした
- 水漏れを特定した
- 階下の天井部分の張替え
- 水漏れが落ちた床の張替え
- 洗濯パンの交換
- 水漏れ箇所の防水加工
「そんなの必要なん?」というものまでメモしている業者さん達を不思議に思いましたが、その理由はあとでわかります。とりあえず水漏れは止まったし収納棚はまた元通りにくっつけてもらったので生活は出来るんですが・・・床の大穴は各自で避けるしかなく、それが一番たいへんでした(後日上をまたぐ板をもってきてくれました)
後日見せてもらった豪華な?見積書は100万円を軽くオーバーする金額が載っていて、もうまさに号泣。こんな費用かかるんですか!!!困る!!!
保険会社と管理会社の攻防?
この部分は管理人さんから報告を受けたところなので、実際僕はなんにも関わっていません。しかし話を聞くとこんな事が繰り広げられたようです。
- 保険会社に「こういう水漏れが発生したので保険適用したい」と申請した
- 「階下にこういう迷惑がかかった、水漏れを特定するためにこんな費用がかかり、マンションの保険適用してこの部分の補修をしたい」
- 見積書提出、保険会社がチェック
- 場合によっては保険会社が現地チェック、査定を行う
- 保険会社「いやいや、ここは個人負担でしょう、いやいやここは工事する必要がないでしょう、この部品は交換しなくてもいいでしょう」云々
- じゃあこの金額まで保険でだしますのでよろしく
そしてその保険適用の金額が提示されたあと、私の家の負担額が計算されます。
工事全体の費用=保険で支払われる額+サキ家負担額
そして恐る恐る管理人さんが提示してくれた見積書にはこんな金額が書いてありました。
25万円。
高すぎる見積もり
シャワーの配管の小さな小さなピンホールを修理するだけで25万円もするの? マンションの保険を使ってもなおウチの負担額が25万円。もう修理やめてピンホールにビニールテープでも巻いておきたいレベル。
中学生と高校生の子供がいるこの時期にそんな出費はつらすぎる。これ、なんとかならないものなのか。
ふと考えるとマンションの火災保険に水漏れに関する補償がついていたのを思いだし、証書を頼りに電話をしてみる。丁寧に応対してくれる女性が話を聞いてくれたものの・・・
火災保険の女性「給排水設備に生じた事故なら保険がおりますが、今件は適用されません。階下の方への弁償、修理工事などについては保険がおります。が、配管の修理工事については1円もおりませんがごめんね」
25万円、やはり払わないといけないのかよ・・・
再見積もり
管理人さんに「ちょっと高すぎますよね」と話をすると「他の業者もあたってみますか?」といいます。
- マンションの保険を使う修理については業者は決められている(保険申請のときに業者の指定まで終わっているため)
- 配管修理工事についてはあくまでも我が家負担なのでどこでどの業者を使っても構わない
- ただ、同日に工事をしないといけないので日程の調整が難しい
- 業者なら何件かしってるので紹介しましょうか?
違う業者にウチの修理をやってもらったとして、またすぐ水漏れが起きた場合責任の所在があやしくなるし、保険負担分と我が家の負担分の説明を業者に最初から説明するのもややこしい。ましてや階下の方のことを考えれば少しでも早く片付けたい。
わたし「いえ、いいです。今の業者さんを値切ります(悲壮感)」
そこで施工業者さんに連絡を取ります。
- うちも何かと物入りなので25万円は高すぎる
- 25万円にはやらなくてもいい部分(床の全面交換、洗濯パン交換など)が含まれているので、最低限これだけやれば生活できるレベルまで減らして欲しい
- そういえばウチの実家も水回りの工事をしたいとかなんとか・・・チラッ
- 一度お付き合いいただければ何かあれば今後も長いお付き合いを・・・
担当の人曰く、今回の修理については保険会社のチェックが異常にきつく、本来ならサラッと保険適用してもらえた部分がことごとく蹴られてしまったのだそうです。そこで仕方なくわが家の負担分が大きくなってしまったので申し訳ないとは言っていました。
が、もう一度見直しをしてくれるということで少し時間を下さいねとのお話でした。
再見積もりの提示
数日後、再見積もりが出てきました。
施行業者さん「ウチがやると高くなるので、下請けとしてよくお願いしている工務店にやってもらいます。費用については工事完了時に作業員に直接現金で支払っていただけると助かります」
わたし「もちろん払います。で、いくらになりますか?」
施行業者さん「3万5000円でOKです」
25万円が3万5000円??
施工業者さん「不要と思われる部分ははずし、最低限必要な部分と確実な修理を行います。あとは・・・・」
わたし「助かります!発注しますので部品等の用意ができ次第ご連絡下さい、費用は工事当日現金でお支払しますので」
ここまでくればあとは工事してお金を払うだけでした。工事前に床に貼るマットの柄を指定したり、工事の時間などを打ち合わせしたくらい。工事もささっと完了し、現金で支払いを完了しました。
まとめ
マンションというのは共用部分と個人所有の部分があるし、それがまたライフラインだと「どこからどこがどっちのもの」といのがややこしいんですよね。
もちろんどの業者さんも一生懸命やってくれたとは思うのですが、25万円というのはあまりに突然で高額だったので嫌な汗をかきました。3万5000円ならまあしょうがないよね、のレベル。相談してよかったです。
追記
最近のマンションは階下とのトラブルを防ぐ意味もあり、自部屋の天井部に各配管を通すことが多くなっているそうです。水漏れが起きても自部屋に漏れるだけで階下に影響が出にくいそうです。マンション購入時は事前に確認しておくといいかもしれません。
我が家の給湯配管は真鍮でしたが、最近の配管は耐熱樹脂性に変わっているそうです。折り曲げなどによるピンホールが起きにくく熱にも強いため。今回のような金属配管のピンホールの補修工事では樹脂配管にチェンジするのもおすすめです。
火災保険の適用範囲の問題ではないですか?
その水漏れの原因、じつは大雨や台風、雪などの被害によるものの可能性はありませんか?
おおよそ90%の火災保険は台風や大雨、雪などの自然災害にも適用することができるのだそうです。